<2013.05.20> 大阪大学中之島センターにて、 医療国際シンポジウム「第2回医療と産業の国際交流シンポジウム in 関西」が開催されます。
日時 : 5月20日(月) シンポジウム18:00~20:30/交流会20:40~21:40
場所 : 大阪大学中之島センター http://www.onc.osaka-u.ac.jp/center/introduction/index.php
第1部 シンンポジウム
タイトル:医療国際化に向けた経済産業省の取り組み
演者 :経済産業省商務情報政策局ヘルスケア産業課 福島洋課長
タイトル:関西の底力を結集して世界へ ~関西イノベーション国際戦略総合特区をはじめとする医療・福祉分野での各地域活性化の取り組み~」
演者 :内閣官房地域活性化統合事務局 長谷川新次長
タイトル:産業としての医療
演者 :アジアメディアカルセンター 尾崎美和子代表
第2部 情報交換会
会場:9F 交流サロン「サロン・ド・ラミカル」
「第2回 医療と産業の国際交流シンポジウム in関西」
本年1月開催の「第1回 医療と産業の国際交流シンポジウムin関西」に引き続き、「第2回 医療と産業の国際交流シンポジウムin関西」が、5月20日(月)大阪大学中之島センターで開催されました。平日の夕方開催にも関わらず120名を超える皆様のご参加を得て前回同様の満席開催となりました。
第1回シンポジウムは医療の海外事業展開を既に行っている3人の方々に事業の成功ポイントとそれを支えるビジネスモデルについてご講演頂き参加者との活発な質疑応答が行なわれました。第2回シンポジウムでは、医療の国際化に向けたビジネス展開を具体的に検討されている方、あるいはこの分野に興味はあったが今までつかみ所がはっきりわからないといったお悩みをお持ちの方々も含めて、より具体的な戦略立案に役立てて頂けるよう、国主導でどこまで進んでいるのか、国主導と民間主導の線引きは、協力体制に関してどのように考えれば良いのか、関西での医療特区の進展状況はどの様になっていて、今後この分野に参入するにはどこがチャンスなのか、実際に海外に進出する際には海外ネットワークをどのように活用できるのか等々の疑問点に対し3人の講師の方々から具体的な事例と成功へのポイントについてご講演頂きました。
-経済産業省 商務情報政策局 ヘルスケア産業課長 福島 洋様
-内閣官房 地域活性化統合事務局 次長 長谷川 新様
-アジアメディカルセンター(シンガポール)代表 尾崎 美和子様
非常にわかりやすく、示唆に富む、めったに聞くことが出来ない大変貴重なご講演となり、全員が熱心に耳を傾け、吉川敏一座長(当機構理事長)リードのもとで今回も又、活発な質疑応答、意見交換が行なわれ大変有意義なシンポジウムとなりました。
以下に3人の講師の皆様のご講演内容を紹介させていただきます。
福島洋様からは、「医療国際化に向けた経済産業省の取り組み」と題して、先ず国の取り組みとして将来あるべき姿を「戦略目標」として4項目を設定、国民の「健康長寿」の延伸がその一つとして大きくクローズアップされていることをご教示頂きました。健康寿命伸長産業を育成するにあたり、予防・健康維持、治療、介護・自立支援の3分野に分けて、保険外産業の育成、最先端治療の海外輸出など今後のロードマップを具体的に計画されていることを強調されました。
実際、海外での我が国の高度かつきめ細やかな医療に対するニーズは非常に高く、それに応えるためにも医療サービス事業者と医療機器メーカーが一体となって海外展開する事が必要であると経済産業省では考えていること、その具体的な展開事例として、ロシア、カンボジアでの施策事例と今後の展望についてご講演頂きました。
長谷川新様からは「関西の底力を結集して世界へ~イノベーション国際戦略総合特区など医療・福祉分野での地域活性化の胎動~」と題して、国際競争に打ち勝つためには先端医療を積極的に育てて行くと同時に、総合特区を成長させて行く必要があると国が考えていることについてご講演いただきました。 具体的には成長戦略の一つである総合特区が、規制の特例や経済的支援を伴う「民と公総がかり」、「地域と国総がかり」の国際競争・地域活性化戦略であり、関西では、医薬品、医療機器、先端医療技術、先制医療などのイノベーション・プラットフォームを築く国際戦略総合特区が京阪神6府県市共同で進行中であること、そしてその最大目標は世界市場でのシェア倍増であるという力強い内容です。その実現にむけて規制・制度を今こそイノベーションの障害から促進力に変える必要があり、多様な企業や公的機関が密接に連携し、地域資源を最大限に有効活用することが最も重要であり、超高齢化の課題を世界に先駆けて解決し、世界の範となるための戦略が重要であるとご講演頂きました。
尾崎美和子様からは「産業としての医療」と題して、既にシンガポールでは、医療は産業として成り立っていること、その成り立ちから現在の発展状況やこれまでの日本での「医療産業」の捉え方との違いについてご自身のシンガポールでの活動経験をもとに具体的にご提示いただきました。 アジア諸国では、既に『医療』を産業と捉え様々なビジネスが展開されている、その理由は発展途上であった国を発展させていく原動力として、医療産業が最もリスクが低く、最良の選択であったことなど、日本の医療産業の捉え方との違いについても事例紹介をしていただきました。その先端を進むのがシンガポールであり、医療を産業として発展させることで国の負担をできるだけ小さくしつつ、医療を様々な形で様々な階層に提供出来ることが可能となっている、更に医療産業が医療技術(基盤技術をも含む)の進歩を急速に促す結果となっていること、そして何故日本では医療産業が成り立ち難いのか、何故日本はその他アジア周辺国にさえ追い抜かれているのか、国民皆保険制度の功罪とともに、医療サービスの差別化をすることが医療を産業として発展していくためには必要不可欠な事であることを、アジアメディカルセンターでの活動実績をもとに具体的にご提示いただき、参加者全員にとって示唆に富む盛りだくさんのご講演でした。
第2部の情報交換会も、シンポジウムに参加された殆ど全員の多くの方がご参加され、活発に相互交流をされました。閉会時には、次回への期待が益々高まる名残惜しさが一杯の情報交換会となりました。(これは第1回シンポジウムの時と全く同じ熱気あふれる状況でした)
第3回シンポジウムは本年9月初旬頃の予定です。平日だけでなく土曜日にも開催してほしいというご要望にお応えして、次回は土曜日の開催予定です。開催概要が決まりましたら速やかにご案内させていただきます。当シンポジウムは毎回、産・官・学・医各界の優れた講師の方々にご登壇頂き、次代を先導する視座や知見、先進事例などをご講演いただきますので、次回もどうぞご期待ください。
(文責 理事 木村 修)